同級生と近所でまさかの再会

同級生と近所でまさかの再会

自宅から歩いて数分のところに、インターネットの口コミなどで話題になっているレストランがあります。

 

どういうわけか、今まで一度も訪れたことがありませんでした。
あまりに近いとつい忘れがちになると言いますか。
今度行こう、と家族で語りつつ、長い年月を経てしまいました。

 

私たち家族は、ついにそのレストランに訪れることとなりました。
こじんまりとしていて雰囲気のいい洋食のレストランです。

 

食事前のワインを楽しんでいた時に、ふと隣のテーブルを見て驚きました。
スタッフの若い女性と楽しそうに談笑しているひとりの男性客。

 

彼は中学の同級生でした。
どうやらこのレストランの常連客のようです。

 

綺麗な女性を見てデレデレするその表情、間違いありません。
美人と評判だった英語の先生に話しかけるお調子者の、あの顔です。

 

彼と目が合わないようにして、急いで食事を済ませてしまいました。
もしも彼が気づいて、私があの頃に借りた漫画を返していないことを指摘されたら困ります。
今さら困るなんてもんじゃありません。

 

不思議そうな面持ちの家族を促して早めに店を出てしまったため、ろくに味を覚えていません。

 

何だかとても悔しいです。
悔しいのに、ワインで火照った頬が夜気にさらされて心地良く、酔ったせいか笑いがこぼれます。

 

漫画は最初から返すつもりがなかったことや、密かに美人先生に嫉妬したこと。
全て、遠く淡い記憶です。


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